3/30(土)公開『マイ・ブックショップ』私と本との一期一会 思い出の本 募集!

1959年、イギリス東部の海辺の小さな町。

書店が一軒もなかったこの町に、周囲の反対にあいながらも

読書の楽しみを広めたいという願いを胸に、今は亡き夫との夢だった

書店を開店した一人の女性の物語。

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WEBマガジン「北海道書店ナビ」で2010年から

道内の書店を取材してきたライターの佐藤優子さんから

すてきな感想をいただきましたのでご紹介します。

 

映画冒頭、いけすかない銀行員が言い放つ「本屋に融資はできません」を聞いて鼻で笑ってしまったのは、まったく同じ話をつい最近、聞いたことがあったから。

はじめての客に選書するときの主人公のワクワクした表情は、
田舎から全国に本を届けるあの人と同じ。

夫との夢だった小さな書店にたたずむ彼女の姿がだんだんさまになっていく様子は、

古書の香りに包まれて棚の前に立つ店主のシルエットと重なった。

「町の女王」にどんどん追いつめられていき、顔に絶望のかげりが見え始めると、

一度は閉店を決意した話を明かしてくれたあの人の涙を思い出した。

“本屋のオヤジ”が見たら、さぞや喜んだことだろう。
「彼女は、あの場所でこんな企画を試してみればよかったんじゃないか」と
アイデアを膨らませたりしたかもしれない。

どの場面を見ても、今までお話をうかがったあの顔この顔が浮かんできて本屋とは

生と死が行き交う場所なのか、と今まで考えたこともないことばが生まれでた。

抑制と社交辞令と陰口がきいているイギリス映画らしい結末。

最後の最後の一言が、これまでもこれからも本屋で働く人たちを
大きなブランケットのように包みこむ。