TOP >> WEBコンテンツ >> 全国映画よもやま話 >> 久住さん死去



全国映画よもやま話

札幌で名物書店 久住さん死去

2017年8月30日 北海道新聞 朝刊

 

札幌で名物書店 久住さん死去

魅力の本屋 追求

 

札幌の名物書店「くすみ書房」を経営し、28日に肺がんのため66歳で亡くなった久住邦晴さんは、ユニークな企画で読者の裾野を広げる一方、地域で本を仲立ちに人が出会う場づくりにも熱心に取り組んだ。

西区琴似に店舗があった2005年、同店地下に学者や作家の話を聞けるブックカフェ「ソクラテスのカフェ」を開設。その翌年北大に着任し、ここで何度も講演した中島岳志さん(42)=現東京工大教授=は「街の人たちと出会う接点となり、学者としての転機にもなった」と振り返る。久住さんの経営理念を「大衆を相手にしつつ、売れない本はだめなのかという反逆もあった。(厳しい環境にある)書店の続け方を模索していた」と評した。

客の好みに合わせお薦めの本を送る「1万円選書」で知られる砂川市のいわた書店の岩田徹社長(65)は、北海道書店商業組合で広辞苑の旧版を外国人学生に送る提案を出した際、理事長の久住さんが「急な提案にもかかわらず応援してくれた。個性的な素晴らしい本屋だった」と惜しんだ。

13年には琴似地区を舞台に映画をつくる「コトニ夢映画制作プロジェクト」の実行委員長も務めた。同企画に携わった札幌の映画館「シアターキノ」の中島洋代表(67)は「地域発信の大切さを分かっている人だった」と話した。

お別れ前夜の会が30日午後6時、お別れの会は31日午前10時、いずれも同市豊平区平岸5の13、むすめやホール平岸で。喪主は長女久住絵里香(えりか)さん。