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全国映画よもやま話

アイヌ民族の遺骨題材の短編、国際映画祭で最優秀賞

研究目的で大学が持ち出したアイヌ民族の遺骨が親族らに返還されるまでを描いたドキュメンタリー「85年ぶりの帰還~アイヌ遺骨 杵臼コタンへ」が、スペインのマドリード・アジア国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した。制作団体で、遺骨の返還に取り組む「コタンの会」の清水裕二代表(77)は「この事実を広く知ってもらいたい」と願っている。

作品は、同会と北大開示文書研究所が制作。1930年代に北大医学部の研究者によって日高内浦河町の杵臼共同墓地から持ち去られた遺骨12体と副葬品が、親族らの訴えで一昨年に返還され、再埋葬されるまでを追った。

同映画祭は映画制作に携わる人たちが主催し、アジア映画を毎年表彰している。同作は、ドキュメンタリー部門14作から最優秀に選ばれた。上映後、来場者からは「日本に、こんな問題があるとは知らなかった。大きな人権問題だ」などの感想が上がったという。

監督・撮影を務めた札幌市映像制作者、藤野知明さん(52)は「返還に取り組む人たちを勇気づけ、アイヌ政策が良い方向に進むきっかけになれば」と話す。

同作は今後、米国や福岡などの映画祭に出品されるほか、10/11~14日に開催される札幌国際短編映画祭でも上映作品にも選ばれている。(斉藤千絵)

北海道新聞8/20 朝刊