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全国映画よもやま話

ゆうばり映画祭 学生も一役

2017年3月9日(木) 朝日新聞 朝刊

ゆうばり映画祭 学生も一役

ボランティア100人、誘導係や広報

 

夕張市で2~6日に開かれた「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017」(朝日新聞北海道支社など特別後援)で、約100人の学生ボランティアが活躍した。観客やゲストの誘導など会場運営を中心に担い、俳優の村上淳さんから舞台あいさつで「ボランティアの学生たちに拍手を」とたたえられた。

映画祭のボランティアは、これまで市民が中心だった。だが財政破綻後に人口減少が急激に進み、「市外の学生たちの協力がますます重要になっている」と事務局の中村英敏さん(29)はいう。

「地元を元気に」

札幌学院大3年の諸澤孝典さん(21)は夕張市出身で、「地元の活性化のために少しでも力になれれば」と昨年から参加する。会場運営の補助を担当し、人手が足りない部署のサポートやトラブルに対応した。小学生の時に市が財政破綻して学校や商店が次々となくなり、「町はどうなるんだろうと不安だった」と振り返る。その中で映画祭は活気ある一大イベント。「サポートする側でがんばり、地元の人やお客さんに喜んでもらいたい」と話した。

大学が単位認定

今年参加した学生ボランティアは昨年の2倍。北海学園大と札幌大が、映画祭のボランティアを単位に認定するようになったことも後押しした。初参加した北海学園大3年の松本真依さん(21)と伊藤紗瑛さん(21)は、会期中に学生が発行する「ゆうばりファンタプレス」の編集と広報を担当した。松本さんは「話を聞いた夕張の皆さんのエネルギーに圧倒された。町は寂れても、気持ちは寂れていないと思った」と語る。伊藤さんは、公式ツイッターで情報を発信したり、ゲストの取材に同行したりした。「メディアの仕事にはキラキラしたイメージを持っていたが、実際には裏方のような仕事が多く、いろいろ勉強になった」と話す。

北大4年の小林素直さん(24)は、映画関係のサークルに所属していた縁から5年連続で参加した“ベテラン”。メイン会場の一つを仕切るリーダー的存在だ。「お客さんとの距離が近いのが、“ゆうばり”の特徴。常連のファンや映画監督らと気軽に話せる雰囲気がいい」。この5年間で感じる学生ボランティアの変化は「以前は映画好きが多かったが、最近は夕張という地域への思いが参加の動機になっている」という。

「学生ボランティアは『失敗』できるのも特権」と小林さん。「いろいろ試してみて、時に失敗を味わう経験が大事。体力的にはしんどいけれど、バタバタを楽しめる一体感が何とも言えない」。休学したため学生生活はもう1年ある。来年もボランティアに参加するつもりだ。

(山本浩司)