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西川美和監督 札幌でファンと交流

2017年7月12日 北海道新聞 夕刊

 

「次は原作のあるもので」

西川美和監督 札幌でファンと交流

オリジナル映画を多く製作している西川美和監督が1、2の両日、 札幌市中央区のシアターキノで開かれた同館の25周年記念行事「西川美和映画祭」のゲストで登場し、 ファンの質問に答えるなどして交流した。

7日まで開いた映画祭では、西川監督の「ゆれる」(2006年) と「永い言い訳」(16年)、さらに同監督が選ぶ1本として「ル・コルビュジエの家」(ガストン・ドゥプラット、マリアノ・コーン監督、日本公開12年、アルゼンチン)を上映した。

「永い言い訳」は妻をバス事故で失った作家と、同じ事故で妻を亡くしたトラック運転手の関係を描いた作品。西川監督は初日、作品上映後に2度登場し、性格が正反対の2人を造形する際、スタッフに教えられて見て大いに触発された作品が「ル・コルビュジエの家」だったと明かした。

「主人公はスノッブ(上品ぶった鼻持ちならない人)。隣の男は (感情の起伏が激しく)かなりの驚異。まさに逆の2人だが、本当に狂っているのはどちらか―という転倒があるところが面白い」とした。両監督の新作が今秋、東京で公開予定で「とても楽しみ」とも語った。

少ない製作費でもスリリングな映画は作れるとして例に挙げたのはキノで上映中の「セールスマン」 (アスガル・ファルハディ監督、イラン)。「2時間で人間はこんなに変われるのかという内面の変化が描かれている」と絶賛した。 今後の映画製作については「次は原作があるものでやろうかなと思っている。30年くらい前に書かれて絶版になった長編の良い作品に出合えた。(脚本化に向け)現在にマッチするように取材したい」と意欲を見せた。(土屋孝浩)