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大黒座100年 文化の灯火

2018年8月6日(月)  北海道新聞 夕刊

 

大黒座100年 文化の灯火

節目の上映会、ファンが11月にも

 

【浦河】道内で最も古い日高管内浦河町の映画館「大黒座」が9月1日に創業100周年を迎える。同館を応援する地元有志の会「大黒座サポーターズクラブ」(新保雄司会長、160人)は節目を祝う記念事業として、「大黒座で見たい映画」を広く募集し、11月にも3作品を自主上映する。

大黒座は1918年(大正7年)の創業で、日高管内唯一の映画館。道内の映画館などでつくる北海道興行生活衛生同業組合(札幌)によると、100年続く映画館は道内で他になく、全国的にも珍しいという。

館主の三上雅弘さん(67)の曽祖父辰蔵さんが演芸小屋として芝居や浪曲などを上演したのが始まりで、一家で経営を引き継いできた。第2次大戦などの危機を乗り越え、昭和の映画全盛期には人が入りきれないほどのにぎわいだったが、近年の映画離れや浦河の人口減で最近は来館者ゼロの日も。三上さんは副業のクリーニング業で赤字を穴埋めしながら、社会派のドキュメンタリーからアニメまで幅広い作品を上映し続けている。

サポーターズクラブは、管内唯一の映画館を守ろうと町民有志らが2008年に結成。ホームページで上映作品をPRし、同館へのカンパを募っている。

記念事業では、ファンから同映画館で見たい1作品を公募。応募数が多く、現在も配給されている作品の中から、三上さんとクラブ役員が話し合い、100周年にふさわしい3作品を選ぶ。経費約30万円はクラブが負担し、収益は同館に寄付する。

新保会長は「大黒座は町にとって大切な文化の灯火。1世紀を大々的に祝いたい」と会員以外にも応募を呼びかける。三上さんは「支援者には感謝しかない。この先も浦河で映画の魅力を伝えていきたい」と話す。

上映希望作品の応募は、作品名を一つをはがきに書いて大黒座(〒057-0013 浦河町大通2の18)に送るか、直接届ける。15日締め切り。問い合わせは同館電話0146-22-2149へ。 (斉藤徹)